「こざるとわに」ジャータカえほん
出版 財団法人 鈴木学術財団
え 武井武雄
ぶん 内山憲尚
この絵本の裏表紙には次のように書いてあります。
「こざるとわに」と「きんのはね」について
この世に中に生きていくには、常に思慮の深い、ものごとの背後を見とおした生活と行動が必要であることはいうまでもありません。
この「こざるとわに」には、母親がたえず子供たちの上にかけている細かい愛情と、それに基くゆきとどいた思慮とがよくよみとれることと思います。
「きんのはね」は、皆さんが今までに一度は、これと似たような話しを聞かれたことがあると思います。
イソップの「黄金の卵を生む牝鶏」の話しと同じ形ですが、このほかにもイソップの中には、ジャータカと同工異曲の話しがたくさんあります。
イソップがジャータカからヒントを得たのではないかといわれています。
この話しは、貪欲(どんよく)を戒しめ、貪(むさぼ)りの果てには一切が失われてしまって、私たちを支える善意や真実さえも滅びてしまうことを物語ったものです。
「足るを知る」ということがいわれますが、煩悩に捉われたかりうどの際限のない欲望のために、すべてが押し流されてしまいます。
考えるべき多くのことがここからひき出されることでしょう。
(参考)
同工異曲(どうこういきょく)
音曲・詩文などの技巧は同じであるが,趣が異なること。
ちょっと見ると見かけは違うようでも,内容は同じであること。
(スーパー大辞林3.0 (C) Sanseido Co.,Ltd. 2010)