「ししとジャッカル」ジャータカえほん
出版 財団法人 鈴木学術財団
ぶん 田中於莵弥
え 寺尾竜一
この絵本の裏表紙には次のように書いてあります。
「ししとジャッカル」について
ジャッカルは肉食目いぬ科に属し、ライオンや豹などが倒したえもののまわりをうろつきながら、禿鷹が食べ残したそのあとの腐肉を食べあさるといわれています。
自分では手をくださず、しかも賤しい、残酷な行為をするというので、恐れられるというよりは軽蔑されています。
ずるがしこくてうまい汁を吸うやつ、というイメージを与えられて、ジャータカをはじめインドの寓話類にはたびたび登場します。
ちょうど、イソップの狐のような役を演じているわけです。
「ししとジャッカル」(南伝大蔵経第335豺本生)も、臆病でありながら慢心して失敗する話で、「威光本生」(南伝143)とも同じ趣旨のものです。
また「鵜本生」(南伝204)にも、鵜の真似をして池にとびこんだ鳥の話があります。
ジャッカルが、身のほどをしらず、だんだんふとって自分もししと同じにえらくなったように思いこむところなど、あさましさがかえってユーモラスにも思えるほどで、哀れさすらも感じられます。
ふくれあがった増上慢といっしょに、ここではジャッカルは象に踏みつぶされますが、また別の話ではこりずにその悪役ぶりを発揮します。
私たちの心の中でも、ジャッカルはなかなかおとなしくはしていてくれないようですね。
それを見破って、うち勝っていきたいものです。