「たべすぎたはと」ジャータカえほん
出版 鈴木学術財団
え 初山 滋
ぶん 山田巌雄
この絵本の裏表紙には次のように書かれています。
このお話は、私が幼い頃にたびたび聞いたお話で、今でもよく覚えているものの一つです。
後に童話を志すようになってからわかったことですが、このお話は、西紀第三世紀の中頃に、呉の廉僧会三蔵という人が訳した「六度集経」よいうお経の中にのっている本生物語(ジャータカ)の一つです。
このお話の教えは、自分の心にままに執著してむさぼる「貪欲」をいましめることにあると思いますが、「欲ばってはいけない」というよりも、もっとわかりやすくするために「食べすぎてはいけない」という扱いになっています。
自分の破滅、生命の危険を感じとってもなお、欲望に抗しきれず、煩悩に流されがちなのがわたしたち凡人の生活のすがたであることを思います。
何よりも強い意志のちからが大切であることを知るときに、このはとのお話は、限りない示唆を与えてくれるものと思います。
このときの賢いはとが、後のおしゃかさまであったとされています。 山田巌雄