ルパン三世・霧のエリューシヴ
漫画「ルパン三世」は漫画家の「モンキー・パンチ」の作である。
「モンキー・パンチ」はペンネームで、本名は「加藤和彦」、北海道浜中町の出身。
この「ルパン三世・霧のエリューシヴ」は故郷の浜中町霧多布を舞台にして描かれた。
霧多布はアイヌ語で「茅を刈る場所」を意味する。
霧が多い処から霧多布を呼ばれたと勘違いされることもある。
北海道浜中町は「モンキー・パンチ」の出身地と云うことで、町中に「ルパン三世」登場人物の絵が掲げられている。
作者「モンキー・パンチ」は残念ながら本年(2019年)4月11日に亡くなった。
北海道出身の俳優「大泉洋」は「ルパン三世」に似ていると良く云われるらしい。
「モンキー・パンチ」は「ルパン三世」の外にも沢山の漫画本を描き、出版している。
ちょっとHな大人向けの「一宿一飯」(週刊サンケイ連載)、「逆イソップ物語」(週刊平凡パンチ連載)などもある。
その出版された「一宿一飯」に「モンキー・パンチ」へのインタビューが載っている。
モンキーパンチ・インタビュー
「あとがきに代えて、インタヴューといきましょう」
回答者 モンキーパンチ
──まず、ペンネームの由来から。
(答)ペンネームにはどうしても、気取った名をつけたがる。そこで、その逆をいって、まるで意味のない名をつけてみた。
──デヴー作は「ルパン三世」ですね。この作品のきっかけは?
(答)中学生の時、ルブランの一連のルパン物を夢中になって読んだ。その影響が漫画家になるまで続いていたようだ。漫画誌から連載の依頼を受けた時、ルパン以外のテーマは考えなかった。
──バタくさい感じのユニークな絵をお描きですが、技法はどの返からとられているんでしょう?
(答)ユニークな絵柄とは思わない。写真をそのまま、そっくり模写したような、〝劇画〟にはどうしてもがまん出来んとガンバったら現在のような絵になってしまった。
──ストーリーの展開もバタくさいですね。
(答)バタくさいと言う意味がどうもよくわからないが・・・・・・。それを言うなら、インターナショナルと呼んでほしい。(冗談)
──この「一宿一飯」はいつもと違って、時代もの、それにナンセンスものですね。楽しくお描きになっているようですが、自信のほどを。
(答)「一宿一飯」を週間サンケイに連載した当時は紋次郎ブームのまっ只中、仁侠物につきものの、義理、人情をぶった斬ってみたかった。だから主人公もかなりエゲツない。
──つきなみですが、アイデアの源、苦労する点、などお聞かせ下さい。
(答)ある評論雑誌に、この「一宿一飯」について書かれた事がある。この中で、何かネタ本があるのではないか?・・・・・というようなことが出ていたが、そんなものはアリマセン。必死なってない知恵をしぼって描いています。まずテーマをきめた時、一番はじめにとび出したヒラメキを大事にしています。
──近況をお聞かせ下さい。
(答)極度の欲求不満におちいっている。過労、睡眠不足、締切りのおくれ等々・・・・・。ゴルフをしたい。麻雀したい。競馬をしたい。飲み歩きたい。映画を見たい。旅行をした・・・・・。
──SF・ミステリーなどのジャンルで好きな作家、好きな作品などをお聞かせ下さい。
(答)特定の作家はいないが、古典的なミステリー物が好き。日本の社会派ミステリーと言われているものはニガテ。
──これからの仕事に関しての抱負、希望・・・・・をお聞かせ下さい。
(答)一番むづかしい質問だ。ただ、この仕事についた時から、いままで本当のプロになりたいと思いつづけているだけ。漫画を描いてそれで飯を喰ってるだけじゃその世界のプロフェッショナルとは言えない。アマチュアが趣味で描いていたって飯は喰える。これからも本当のほんものを探しつづけながら描いて行きたい。
(昭和51年5月1日初版発行「一宿一飯」187~189頁より)