小さな町の風景・佐藤忠良 絵
小さな町の風景
偕成社の創作文学44
杉みき子 著
佐藤忠良 絵
1982年9月 第1刷 株式会社 偕成社 発行
赤い鳥文学賞、受賞作品
〈読売新聞評〉
「坂のある風景」から「海のある風景」まで8章、合わせて45編の物語と小品をおさめる。見なれた懐かしい事物や風景が、ふるさとへの愛をこめた、ほのぼのとする叙情性ゆたかな文章に表現してみせている。母と子の表現読みで味わいたい。
小さな町の風景/もくじ
坂のある風景 7
商店のある風景 29
塔のある風景 57
木のある風景 81
電柱のある風景 101
鳥のいる風景 125
橋のある風景 153
海のある風景 175
あとがき 200
豊かな感性と風土が生んだ文学〈解説〉関英雄 202
著者・杉みき子はその「あとがき」の中で
「この本に集めた小さな話のかずかずは、みんな、私の住んでいる小さな町が教えてくれたのです。
私の家の近くに、歓喜橋(かんぎばし)という橋がありました。今でもあります。私は子どものころ、その橋の名まえが気になってなりませんでした。どうしてこの橋、こんなに喜んでいるのかしら、と、そこを通るたびに思ったのです。少し大きくなってから、この名まえは、近くのお寺と関係があることがわかりました。でも、もう一つ、この橋がいつとはなしに私に教えてくれた話も、やはりほんとうのことだったという気がしてなりません、それが『橋のある風景』の中の『よろこびの橋』という話なのです。(中略)
この小さな町を、美しい絵とあたたかい解説で飾ってくださった、佐藤忠良・関英雄の両先生、そして偕成社のみなさん、どうもありがとうございました。
なお、ここにおさめた作品の大部分は、雑誌『日本児童文学』一九八一年十二月号から一九八二年五月号にかけて連載されたものです。その他、雑誌『びわの実学校』同『新世』に掲載したものをいくつかと、書きおろし数編を加えてこの本をまとめました。
一九八二年七月 杉みき子」と書いている。
尚、この「小さな町の風景」と「小さな雪の町の物語」は同じ著者・杉みき子の著書の為、間違え易いので注意が必要である。