旭岳とロープウエイ(1)
東川町の名物といえば、人でもなく、物でもなく、この大自然「大雪山旭岳」であろう。
東川開村以来、東川村、東川町に属している。
アイヌの人々はこの大雪山を「ヌタクカムウシュベ」、または「カムイミンタラ」と呼んで畏敬していた。
「カムイミンタラ」とは「神々の遊ぶ庭」と云う意味である。
先日午後、久し振りに大雪山旭岳のロープウエイに乗って登ってみた。
晴天で大勢の日本人や外国人の観光客が訪れていて、駐車場は満杯状態であった。
9月29日に大雪山旭岳に初冠雪があったと新聞では伝えていたが、その初冠雪はすぐに消えてしまって、紅葉が綺麗であった。
「初冠雪」とは、山の中腹から山頂で雪が積もり、ふもとにある気象台や観測所から初めて見えた時を言うらしい。
旭岳山麓駅から姿見駅までの大雪山旭岳ロープウエイは、大人個人往復2,900円、子供1,450円。
昭和9年に国立公園に指定された大雪山国立公園は、神奈川県の広さに匹敵する226,764ヘクタールで日本の国立公園の中で最も広い。
大雪山国立公園は旭岳連峰、十勝岳連峰、石狩岳連峰などの壮大な山々からなる国立公園であり、その主峰「旭岳」は2,291mで北海道では最高峰である。
「旭岳」活火山で、今なお火口から白い水蒸気噴煙が幾筋も見える。
しかし、有史以降、記録に残る火山活動は無い。
旭岳は休火山と子供の頃から教えらてきたが、今は休火山とは呼ばないらしい。
気象庁のホームページによると次の様にあった。
「以前は、現在噴火または噴気活動を続けている火山を活火山、現在は活動していないが歴史時代に活動した記録が残っている火山を休火山、歴史時代の活動の記録がない火山を死火山と分類していました。しかし、年代測定法の進歩により火山の過去の活動が明らかになり、数万年に一度噴火する火山もあることが分かってきました。歴史時代だけで今後の噴火発生の有無を判断することは難しいので、近年は休火山や死火山という分類はなされていません。」
さらに、私達は大雪山旭岳の高さは2,290mと教わったが、近年GPSで再調査したところ、1m上がって2,291mになった。
にんにく一番(二二九一)である。
大雪山国立公園は前述した通り広大な面積を有している。
明治大正時代の著名な文人、大町桂月の著「層雲峡より大雪山へ」には次のようにある。
『 富士山に登って、山岳の高さを語れ。 大雪山に登って、山岳の大(おおい)さを語れ。
大雪山は北海道の中央に磅礴(ほうはく)して、七、八里四方の地盤を占め頂上の偉大なること、天下に比なく、群峰攅(あつま)って天を刺し、旭川の市街を圧す。最高峰は海抜七千五百五十八尺、ただに北海道の十国島に冠たるのみならず、九州になく、四国になく、中国になく、近畿になく、奥羽になし。信濃を中心とする諸高山には劣るも、緯度高きを以て、山上の草木風物は、信濃附近の一万尺以上の高山と匹敵する也。』
『(旭岳)頂上に達して、始めて腰を卸す。頂上は尖れり。西面裂けて、底より数条の煙を噴く。世にも痛快なる山かな。大雪山の西南端に孤立して、円錐形を成し、峰容大雪山の中に異彩を放つ。眺望も北鎮岳と相伯仲す。ここにては大雪山の頂の大なることを見る能わざるが、南より西へかけての一帯の台地に、姿見の池を始めとし、多くの小湖の散在せるを見るを得べき也。』