西條八十 「誰か故郷を想はざる」

西條八十・誰か故郷を想はざる-1
西條八十・誰か故郷を想はざる-1
西條八十・誰か故郷を想はざる-2
西條八十・誰か故郷を想はざる-2

 

西條八十 「誰か故郷を想はざる」

 

「誰か故郷を想はざる」は西條八十が作詞し、古賀政男が作曲した。

この「誰か故郷を想はざる」は戦地にあった多くの人々に愛唱されたという歌である。

レコードは昭和15年(1940)に霧島昇が歌いコロムビアから発売された。

赤紙一つで突然戦争に駆り出され、戦地に赴いた人々は、軍歌も歌ったであろうが、時にはこの「誰か故郷を想はざる」ような哀愁を帯びた歌も歌って心を癒した。

遠く異国にあり、いつ戦死するかわからない自分にとって、心配し想い出すのはやはり故郷に残した父母、妻、我が子、祖父母、友なのであろう。

この歌を歌い、或いは耳にした時、自ずと流れる涙を誰が禁じることが出来ようか。

 

戦地に赴いた人ばかりではない、遠く故郷を離れて暮らし、あの懐かしい山河を想い出すのは萬人の持つ懐郷の心である。

「ふるさとは遠きにありておもうもの」ではなく、「故郷は遠く離れたものほど思う」のである。

 

西條八十はこの「誰か故郷を想はざる」については、あまり多くは語っていないように思う。

 

誰か故郷を想はざる 西條八十 作詞

 

花(はな)摘(つ)む野邊(のべ)に日(ひ)は落(おち)ちて

みんなで肩(かた)をくみながら

唄(うた)をうたつた歸(かへ)りみち

幼馴染(をさななじみ)のあの友(とも)この友(とも)

あヽ誰(たれ)か故郷(こきやう)を想(おも)はざる

 

ひとりの姉(あね)が嫁(とつ)ぐ夜(よ)に

小川(おがは)の岸(きし)でさみしさに

泣(な)いた涙(なみだ)のなつかしさ

幼馴染(をさななじみ)のあの山(やま)この川(かわ)

あヽ誰(たれ)か故郷(こきやう)を想(おも)はざる

 

都(みやこ)に雨(あめ)のふる夜(よる)は

涙(なみだ)に胸(むね)もしめりがち

とほく呼(よ)ぶのは誰(たれ)の聲(こゑ)

幼馴染(をさななじみ)のあの夢(ゆめ)この夢(ゆめ)

あヽ誰(たれ)か故郷(こきやう)を想(おも)はざる