佐藤忠良「若い女」旭川市2条通り買物公園
この佐藤忠良作「若い女」は旭川市2条通り買物公園に野外展示設置してある。
プレートには「若い女 Young Woman 制作年 1971 佐藤忠良 SATO Churyo 」とある。
市瀬 見(いちのせ けん)はその著「彫刻家 佐藤忠良」のなかで次のように書いている。
「若い女」
「この像の片側の肩に厚く雪が積もっていた。
冬の旭川の買物公園のある日の新聞写真である。
その後、個展会場でこの像を見たとき、私の目には何か軽い物体が静かに肩にあるように思えた。
その物体は、無重力の目に見えない物質が、若い女の重心のとれた均衡あるポーズを〝支えている〟ように思えたのである。
肉体という自在な存在が極めて自然な安定をとるとき、人は美しいという人体の構成を観るのである。
長い左足の『休メ』という直線、そのため右の腰と軸となる重心、首を倒すことによって両乳房の傾く動き、それらが実に〝華麗〟というものを極力押さえたことにより、かえってみずみずしい〝女〟の生命感を出している。
同じように『まげたポーズ』(一九六九)、『ジーパン』(一九七〇)と、若い女のある動きを見せる作品の系列にあるが、作者は女性の肉体に〝自然〟という仕組みの美しい確かさをひたむきに追う視線がある。
そこが他の作家の裸婦とは少し色合いが違うように思えるのだ。」
◇ 一九七一 ブロンズ 174.5×103.5×58.0㎝
(「彫刻家 佐藤忠良」市瀬見:著 174~175頁より)
尚、このモデルは佐藤忠良の弟子・笹戸千津子だと思う。